私が毎週欠かさず視聴する番組。
映像の世紀:バタフライエフェクト。
今日のテーマは戦後0年の日本。
こんな映像が残っていたのかと驚嘆。
番組の最後に坂口安吾の堕落論の一節が紹介されていた。
私も大学生の頃,堕落論は何度も読んだ。
あの頃は若かった。
人間。
戦争がどんなすさまじい破壊と運命をもって向うにしても人間自体をどう為しうるものでもない。
戦争は終った。
特攻隊の勇士はすでに闇屋となり,未亡人はすでに新たな面影によって胸をふくらませているではないか。
人間は変りはしない。
ただ人間へ戻ってきたのだ。
人間は堕落する。
義士も聖女も堕落する。
それを防ぐことはできないし,防ぐことによって人を救うことはできない。
人間は生き,人間は堕ちる。
そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。
戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。
人間だから堕ちるのであり,生きているから堕ちるだけだ。
だが人間は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。
なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。
人間は可憐であり脆弱であり,それ故愚かなものであるが,堕ちぬくためには弱すぎる。
…略
人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。
そして人の如くに日本も亦堕ちることが必要であろう。
堕ちる道を堕ちきることによって,自分自身を発見し,救わなければならない。
政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物である。
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