池井昌樹さんの詩。
今般の状況下において、若い人たちには是非感じてほしい詩。
2018年に一度紹介している詩。
やさしいちちと
やさしいははとのあいだにうまれた
おまえたちは
やさしい子だから
おまえたちは
不幸な生をあゆむのだろう
やさしいちちと
やさしいははから
やさしさだけをてわたされ
とまとまいながら
石ころだらけな
けわしい道をあゆむのだろう
どんなにやさしいちちははも
おまえたちとは一緒に行けない
どこかへ
やがてはかえるのだから
やがてはかえってしまうのだから
たすけてやれない
なにひとつ
たすけてやれない
そこからは
たったひとり
まだあどけないえがおにむかって
やさしいちちと
やさしいははとは
うちあけようもないのだけれど
いまはにおやかなその頬が痩け
その澄んだ瞳の凍りつく日がおとずれても
怯んではならぬ
憎んではならぬ
悔いてはならぬ
やさしい子らよ
おぼえておおき
やさしいさは
このちちよりも
このははよりもとおくから
受け継がれてきた
ちまみれなばとんなのだから
てわたすときがくるまでは
けっしててばなしてはならぬ
まだあどけないえがおにむかって
うちあけようもないのだけど
やさしいちちと
やさしいははとがちをわけた
やさしい子らよ
おぼえておおき
やさしさを捨てたくなったり
どこかへ置いて行きたくなったり
またそうしなければあゆめないほど
そのやさしさがおもたくなったら
そのやさしさがくるしくなったら
そんなときには
ひかりのほうをむいていよ
いないいないばあ
おまえたちを
こころゆくまでえがおでいさせた
ひかりのほうをむいていよ
このちちよりも
このははよりもとおくから
射し込んでくる
一条の
ひかりから眼をそむけずにいよ
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