渡辺ゼミ2期生も変わった連中ばかりだったなぁ。
ゼミ長は元ヤンキー。
当時は中大に夜間部があり,奴も夜間部だった。
髪の毛は金髪でそれをスーパーサイヤ人みたいにおったてていて,デカい図体にドカジャンをはおり,いかにも現場から大学へ来ましたって恰好だった。
そんな格好の野郎が,一回も授業に休まずに出席してくるので,否が応でも目についた。
10月のある日,奴が授業終了後,教壇に向かって歩いてきた。
そして,予想通り,こういった。
「先生のゼミってどんなことするんですか?」
そして,奴は私のゼミに入った。
素晴らしいリーダーシップの持ち主であったため,自然な流れでゼミ長になった。
ある合宿での一コマ。
晩に酒を飲みながら,奴にふと聞いた。
一度も休むことなく毎回私の授業にしっかりと出席していたが,私の授業はそんなに楽しかったか,と。
奴は答えた。
先生の授業は楽しかったけれども,俺は先生の授業だけではなく,すべての授業において一度も欠席せずに出席している,と。
そして,続けてこう言った。
先生によってはクソつまらない授業もあったけれども,そんな先生でも年に1回ぐらいは「良いことを言うんですよ」と。
そして,聞いた。
君はそのあるかないか分からない機会に備えるために,授業に毎回出席していのか,と。
答えは分かりきっていたが,予想通り…「そうです」。
その時に,鳥肌が立ったのを今でもよーく覚えている。
大学生だったころの私は,自信をもって言えるが,大変不真面目であった。
大学の授業にまともに出席した記憶は…ほとんどない。
2期のゼミ長の話を聞き,鳥肌が立ち,その後に襲ってきたのは,痛烈な「後悔」であった。
私は多くの貴重な気づきの機会を,自ら放棄してしまった。
大学時代,周囲に流されずに,もっと大学の授業に前向きに取り組んでいれば,今の私はもっと…
そして,次に襲ってきたのは,痛烈な「恐怖」であった。
学生の中には,そんな学生もいる。
しかるに,現在の私はそんな学生に応えられるような授業を展開できているのか,と。
これが私の現在の授業改善の強力なエネルギーとなっている。
2期のゼミ長は,卒業後,就職氷河期のなか,倍率何百倍もの食品会社に就職した。
とんとん拍子に出世し,長く経営企画室に勤め,まだ30歳台だけれども望んで関連会社に出向し,そこで経営幹部をしている。
いずれ本体に戻り,もっと偉くなるだろう。
忙しいだろうに,良くゼミ合宿に顔を出してくれた。
今,関西にいるから,ここんとこ会えていないが。
学生からも学ぶことがたくさんある。
それを教えてくれた記憶に残る学生だった。
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