アインシュタインはかつて,次のように言った。
The formulation of the problem is often more essential than its solution.
問題の定義は,その解決より往々にして重要である,ということである。
AIの進歩は止まらない。
それどころかそれは加速しつつある。
これにより,既存知識や解法へのアクセスが極端に容易となるつつある。
結果として,「どのように解くか」よりも「何を解くべきか」こそが,価値の源泉になってきている。
問われるべき問いが誤っていれば,どれだけ高度な分析を適用しても,それによりどれだけ正確なソリューションが得られたとしても,意味のない最適解しか得られない。
したがって,どのような問いを設定するのかということが,価値創造の起点になっていると言えよう。
AIは,明確に問題が定義され,目的関数と制約条件が与えられた場合,極めて適切な解決策を教えてくれる。
しかし, 問題の定義は,依然として人間の判断に依存する。
したがって,問題を定義する力,換言すれば適切な問いをたてる力は,AI時代の中核スキルとみなすことができる。
例えば,ビジネスにおいて,「売上をどう伸ばすか?」という問いはあまり適切ではない,「顧客は何に困っていて,なぜ未解決なのか?」という問いの方が適切であろう。
問いを変えるだけで,戦略が変わる可能性がある。
最後になるが,問題定義は決して中立的な行為ではなく,創造的な行為であるということである。
問題を適切に定義することができる者こそ,未来の選択肢を規定すると言えよう。
以上より,次にように言うことができる。
解ける問いが溢れる時代だからこそ
解くに値する問いを定義できることが
最大の知性であり価値である
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