2021年7月24日土曜日

内発的動機づけにもネガティブな…

内発的動機づけは、私の研究にとっては非常に重要な概念。

この概念との出会いが私の研究の方向性を大きく変えた。

2000年初頭にこの概念を知り、それからミニプロフィットセンターの研究にその概念を適用し、2004年にその先駆性を評価され、学会から学会賞を頂戴した。

そして、2005年から2年間ワシントン大学での在外研究の間、ひたすら心理学を学んだ。

それがお金のためとか、怒られないためとか、外的な条件によってある行動が生起し維持している場合、それは外発的動機づけと呼ばれる。

内発的動機づけは、そういった外的な条件は全くない状態で、その行動をすること自体が目的であるような状態であり、楽しさや面白さによって行動が生起されている状態を指す。

内発的動機づけは、とりわけ拡散的な思考を伴う創造的なワークにおいて、高いパフォーマンスにつながるとされていた。

ところが…その内発的動機づけにもダークサイドがあるという。

それを明らかにした論文は下記のもの。

実に面白い。

https://journals.aom.org/doi/abs/10.5465/amj.2017.0735

Bored by Interest: How Intrinsic Motivation in One Task Can Reduce Performance on Other Tasks

企業における仕事は複数のタスクから構成されていて、あるタスクにおける内発的動機づけが高い場合、他のタスクのパフォーマンスがどうなるのか、この辺のところが研究課題。

韓国で得たデータによれば、1つのタスクにおける内発的動機づけの最大値が高い従業員は、他のタスクにおけるパフォーマンスが平均よりも低かった。

米国で得たデータによれば、内発的動機づけの高い最初の課題に取り組むと、その後の課題が面白くない場合にはパフォーマンスが低下したとのこと。

上記の両方の研究において、1つの課題において中程度の内発的動機づけを示した場合、内発的動機づけが高い場合よりも、興味のない課題におけるパフォーマンスが高かった。


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