2022年10月18日火曜日

プロデュース論4回目!!

本日の講師は,日テレのカリスマプロデューサーで,今年独立してGontentsという代表社員をされている土屋敏男氏。

あの伝説の電波少年のプロデューサーで,登場する際のダースベイダーの音楽で超有名。


テレビを見る人はどのくらい減っているか?

1997年がピークで,プライムタイムに70%ぐらいの人がテレビを見ていた。

2022年になると,同じ条件で50%ぐらいしかテレビを見ていない。

特に若い男女の下落率が大きい。

今年,テレビ局がパニックになるくらい,ここ数年の下落はひどい状況。

それに伴って営業収入も減少。

テレビ局の方々の予測を上回るペースで減少。


歴史を振り返ると…

1953年にテレビ放送が始まるが,当時,謳歌していた映画界はテレビ業界の発展の邪魔をしつつ,1958年には映画観客数史上最高の11億2700万人を記録。

しかし,その後10年ごとに三分一に減少し,1978年には1億6000万人へ。

その後,現在まで1億人程度で推移。

テレビは社会の窓として機能。

社会の情報の提供媒体として噂話,瓦版,ラジオ・映画,そしてテレビへと変遷してきた。

そこにネット・スマホが登場。

それにより,社会の「窓」と自分の距離が変化した。

映画観客数が20年かけて観客数が七分の一になったように,テレビを見る人はまだまだ減ると予測。

TV is Kingの時代は完全に終わった。

では,テレビ局はどうすれば?

そもそもテレビ局とは…

①番組を送り出すプラットフォーム

②番組というコンテンツを製作する工場

コンテンツをクリエイトするとは?

歴史上最初のコンテンツは,グーテンベルクの活版印刷術によるグーテンベルク聖書。

コンテンツを作るとは,コンテンツでビジネスをする,ということ。

ビジネスを前提としたクリエイティブをコンテンツと呼ぶ。

コンテンツを作るにはそのコストが発生するので,それを回収するビジネスモデルが必要となる。

また,その流通にもコストがかかる。

コンテンツを作るのに必要なコストとは?

一般的な製作費(技術費,出演費,美術費など)のほかに,クリエイトしたもののコストは?そしてその価格はどう決められている?

それはプラットフォーム側が決める(需要と供給の関係で決まる)。


娯楽=エンターテイメントの変遷

娯楽の原初とは,洞窟時代の公伝による物語,歌,踊り,絵画→祭り=呪術→ハレとケ=非日常と日常→世阿弥観阿弥,出雲阿国→見世物小屋→演劇(脳,狂言,落語,講談等々)

その後,電気が産まれ,ラジオ,映画を経て,テレビ時の時代へ。


民放テレビ局のビジネスモデルは広告モデル。

視聴率がじり貧になる中,テレビ局はどうすれば良いのか?

映画会社がテレビ局と組んだように,テレビ局もネットともっとつながるべき!

しかし,それがいまだ十分にできていない。

日本のテレビ局は何を間違ったか?

アメリカと日本の違い。

アメリカはビジネスが大事なので,そこで必要ならなんでもやる,そして権利は勝ち取るものと考える。

日本は忖度主義,集団主義,権利はお上からもらうもの。

アメリカの方が変化に対応しやすく,日本は対応しにくい。

アメリカの行動事例…2007年からの全米脚本家組合のストライキ。

最後は,両方が痛み分け。

条件通り報酬を払う決着がつくも,脚本家側ものちにリストラをされる。


ところで…NETFLIXの年間製作費は2.4兆円。

他方で日本テレビの年間製作費は約900億円…

Amazon Primeが1.8兆円。

Disney+が急激に成長中。

日本ではAmazon Prime1460万人,NETFLIX600万人,Disney+180万人,Hulu280万人,UNEXT240万人。

TverアプリDL累計5000万人。


コンテンツを作る側で世界を見てみると…

韓流コンテンツが世界を席巻している!

NETFLIX視聴の25%が韓流コンテンツ。

BTSが世界的スターに!

韓流の目線の先には常に世界(韓国のエンタメマーケットが小さかったことも一因)。

日本のエンタメ界との大きな違い。

日本はエンタメマーケットがそもそも大きかったということも原因の一つ。

日本のものはハイコンテクストであり,日本の文脈がわからない外国人には理解しにくい。

では,日本製コンテンツが世界を席巻する可能性は?

NETFLIXで初めて「はじめてのおつかい」が放映され,世界で話題に。

中止になってしまったが「テラスハウス」も世界でニッチなファンがついていた。

それに共通するものは,それは欧米型リアリティショーではない,日本型ドキュメントバラエティだということ。

極力演出を感じさせないようにして,出演者がカメラを意識しない工夫をすることが大事。

これらを意識すればきっと世界でヒットする作品を作れる!

ヒットコンテンツで世界をひっくり返せる時代!

イカゲームの脚本は韓国のテレビ局には扱ってもらえなかったが,NETFLIXのプロデューサーの目に留まって,アメリカのエミー賞6冠を獲得!

今製作中のイカゲーム2の製作費は100億円以上と言われている。


卒業後,映像制作者になるなら…

Youtuberはレッドオーシャン!

しかし,今ないYoutubeジャンルを見つけ3年間毎日投稿して,成功確率10%程度か…

NETFLIXなどグローバルなSVODで世界向け映像コンテンツを作る!

しかし,新卒でNETFLIXなどには,まず入れないため…

今できることは英語力と製作能力をつけ,テレビ局か製作プロダクションに入る!


個人のクリエイティビティが大切な時代!

クリエイティビティ=企画力,演出力,プロデュース力。

企画力を持つためには,欲望を持て,不満を持て,疑問を持て,好奇心を持て!

今の学生が辞めた方が良いことは…映画を早送りで観ること!

製作側に回りたい人にとって大事なことは…情報を摂取するのはなく,作品を鑑賞して自ら感動しなくては,人の心を動かす作品は作れない!


これから社会に出る学生に伝えたいこと!

学生:与えられるもの>与えるもの

社会人:与えられるもの<与えるもの

この差が社会を進める力になる!

仕事を「させられる」と考えるか,「する」と考えるか。

仕事を「する」スタンスで仕事をしよう!


また,仕事と労働は違う!

労働は数値で測られるもの

仕事はやりがいで測られるもの

仕事は数値で選ぶのではなく,自分に向いているもので選ぶべき。


最後にご紹介いただいたのは…

任天堂の岩田聡元社長の言葉

労力の割に回りが認めてくれることが,きっとあなたに向いていること。

それが自分の強みを見つける分かりやすい方法だ。


今後…

若者は,ローリスク・ローリターンの人生を歩むか(人と同じことをする),ハイリスク・ハイリターンの人生を歩むか(人と違うことをする),意識したほうが良い。




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