2011年1月31日月曜日

卒業論文発表会その3

2日経ってしまいましたが,残りの報告について書きます。

第9報告はKIさんの「学習意欲に対する影響要因の研究」。
自己調整学習の理論を援用して,学習の持続性,動機づけの自己認識,自己効力感,および内発的興味を高めるうえでの,学習方略の利用頻度の効果を実証的に検証した。
幾つかの仮説は棄却されたけれども,おおむね良い結果がでましたね。
一番最後まで研究室に質問に来ていましたね。その甲斐があったかな。

第10報告は,ESさんの「コミュニケーション能力が経営倫理意識におよぼす影響」。
昨今の企業不正の頻発が彼女の問題意識の根底にあった。
どうすれば企業不正のない,倫理が高く維持された経営が実現できるのか,彼女は社内のコミュニケーション能力にその鍵があるのではないかと考えた。残念ながら,仮説は棄却されてしまいましたね。仮説設定の際に,もっとじっくりと検討してあげられなくてごめんね。

第11報告は,YY君の「成果主義の考察」。
成果主義の効果的な運用方法を追求するために,幾つかの導入ケースを考察しました。
もう少し「成果主義」なるものの本質に対する考察ができれば,なお良かったと思いますよ。

第12報告は,KM君の「目標管理制度による仕事意欲の向上」。
目標管理制度の運用に,キャリアデザインを包含させるべきだという,意欲的な提言を盛り込んだ論文ができました。彼は一貫してキャリアデザインの重要さを指摘しており,その点で,しっかりと本人の問題意識が反映されたものができあがりました。

第13報告は,NK君の「ネガティブな感情がフローを通じて創造性を生みだすのに必要な条件」。
フローの力動論モデルに,神戸大学の金井先生の感情とモチベーションに関する説,ならびに個人のパーソナリティ特性を加味したモデル作成しました。実に挑戦的であるが,理論的に筋の通ったモデルを構築することに成功しました。実に面白い。
学生が構築したモデルで,ここまで面白いと思ったものは初めてかも。

報告終了後,4年生とOB・OGとで懇親会。
実に暖かい雰囲気の中,楽しい会話ができました。
4年生とまとまって飲むのも最後だと思い,ちょっと寂しい感じもしましたが…。
でも,まだオイコンがありますね。
気持ちよく君たちを送り出せるよう,3年生と一緒に準備しますね。

とにかく,卒業論文,ご苦労様でした!

2011年1月29日土曜日

卒業論文発表会その2

午後の部,開始。

第5報告は,YI君の「口コミと自律的動機づけの関係性」。
卒論テーマが二転三転した同君の最終的なテーマ,それがこれである。
口コミというのは現代において非常に重要。
そして,口コミは,従業員と顧客との間の良好なコミュニケーションによって生じる。
その良好なコミュニケーションは,従業員が自律的に行動している場合に,生じやすい。
自律的な行動は,自律的に動機づけられているときに生起している。
このような因果連鎖を仮定し,口コミと自律的動機づけの関係を理論的に検証している。
でも,時間不足のため,多くの点で中途半端になっちゃたね。

第6報告は,YM君の「オープンブック・マネジメント(OBM)と組織コミットメントとの関係性について」。
OBMとは,従業員に財務諸表を公開し,自分たちの行動と発生するコストとの因果関係を強く意識させ,コスト削減行動を生起させようとするものである。
このOBMを従業員が受け入れ,所期の成果を上げるためには何が必要なのか,彼は組織コミットメント,エンパワメント,および成功の報酬が必要ではないか,という仮説を理論的に立案した。
これを実証研究にすることができなかったのは,残念でした。プレゼンもちょとグダグダしてしまいましたね。

第7報告は,SO君の「日本航空再建問題に関する考察」である。
日本航空の再建にあたって認識すべき重要な問題を整理するとともに,アメーバ経営を実施することのメリット・デメリットを検証している。報告者は,最終的にもっとも重大な解決すべき問題は,労働組合問題であると結論付けている。
非常に難しい問題に取り組んでしまいましたね。考察はどうしても表面的なものになってしまいました。最初の「金融機関における管理会計…」のだったら…。

第8報告は,EKさんの「企業におけるワークライフバランス(WLB)支援制度の運用について」である。
WLB制度が効果的に運用されるために必要な条件を検討している。
たとえば,WLB制度の利用者に対する対応を明確にすることや,休業中の処遇や復帰後のキャリアについて明確にすること,などがあげられていた。
できれば,これも実証できれば良かったですね。

卒業論文発表会その1

本日,卒業論文発表会が開催される。
というか,発表会ナウ,である。
発表を聞きながら,これを書いている。
基本的に,最後の最後の発表については,私はあまり発言をしない。これまで山ほど意見してきたので,今日はもういいだろう。

さて,最初の報告はHN君の「ポジティブ・フィードバックの受容に対する影響要因の分析」。
言語的フィードバック(褒め言葉など)が研究対象である。褒め言葉がケースによっては,素直に受け入れられない,あるいは逆にマイナスの場合があるのはなぜなのか,ということが問題意識にある。分析の結果,褒め言葉の受け手の承認欲求が高い場合を除き,その言葉を言ってくれる人が信頼できる人である場合,および褒め言葉をタイムリーに言ってくれる場合には,その褒め言葉の受容は促進される,ということがわかった。
設定した分析モデルは,まあまあ良くできていたのだが,モデルの構成変数の測定に手落ちがあり,いざ分析!という段階で,とても苦労することになった。

2番目の報告は,RN君の「多様な働き方に対する若者の意識に関する考察」。
ワークライフバランスに対する若者の意識の実態をアンケートを通じて明らかにするものであった。その結果,現代の若者は多様な働き方に対する受容度が高いことがわかった。
文章構成や展開の仕方に難があったが,最終的にはある程度まとまったかな(!?)。

3番目の報告は,TT君の「オーセンティック・リーダーシップ(AL)に対する影響要因の研究」。
オーセンティック・リーダーとは,自己を偽らずに正直に行動し,他者とは誠実に接し,情報をバイアスなきよう処理するような人である。
ALの程度に私的自己意識や公的自己意識が影響を及ぼしているという仮説をたて,アンケートによって収集したデータに基づき検証したが,その仮説は棄却された。変数の測定方法に難があったかな。

4番目は,MOさんの「シェアード・サービスセンター(SSC)の構造と課題」である。
SSCとは,グループ経営の視点から,社内または企業グループ内で分散して行われている業務を,ある本社部門または子会社に集中し,業務プロセスの効率化をはかる手法である。彼女の問題意識は,SSCが自社以外に,他社にもそのサービスを外販する場合,SSCが失敗するという報告例が増えているが,それはなぜなのか,というものであった。
彼女自身の就職先が,外販を重視するSSCであり,その問題意識は切実であった。考察の結果,適切な手続きを踏んで外販を導入すれば,成功する確率は高くなるであろうという結論を導き出した。 でも,最後に内定先に就職することに対する不安が増幅してしまったとも…。

その2に続く…。

2011年1月26日水曜日

日韓戦を見て思う

昨日のアジアカップの日韓戦は素晴らしかった。
日韓ともに,中心となる選手は,まだ20代になったばかりの選手であった。
つまり,我々が普段接している若者たちの世代である。
その技術の高さや不屈の闘志に加え,最後まであきらめない気持ち,フェアプレーの精神,仲間を思いやる心など,日本の若者も,そして破れたりとはいえ韓国の若者も,素晴らしかった。試合終了後,日本が勝ったことの嬉しさより,このような素晴らしい試合を見ることができたことに,胸が詰まり,涙腺がゆるんだ。こういう若者を見るにつけ,未来は明るい,そう思うのである。草食系だとかなんだと言われているが,多くの若者は素晴らしいものを持っていると思う。

「にもかかわらず,あなたは今の若者に厳しすぎる」

私の言葉ではない。
東京大学の高橋伸夫先生の近著『組織力―宿す,紡ぐ,磨く,繋ぐ』(ちくま新書)の一節である。
高橋先生の主張のすべて首肯するわけではないが,多くの点が私の考えと近い。
その言葉を,少し長いが続けよう。

「…面接の話題に事欠いて,若者に自己分析を強要したり,果ては,夢も希望もないおじさん,おばさんたちが,若者に夢や希望を語らせようとしたりする。
 そもそも,あなたたちが入社した頃は,会社は『変な色に染まらず,真っ白な状態で入社してほしい』と言っていたのですよ。若者に即戦力なんて求めていなかった。あとは会社で育てますとまで言っていたのです。だから今,あなたはこうしていられる。それなのに,喉元過ぎれば熱さ忘れるとばかりに,そんなふがいない若かりし頃の自分たちの姿はサラッと忘れて,あなたは今の若者に多くを求めすぎなのです。
 どうか彼らを正社員として雇ってあげてほしい。そして,みなさんの後継者として育ててあげてほしい。
『そんなことを言われたって,一人前になるかどうかも分からないのに…』
 そう言うおじさん,おばさんたちに,私はこう答えることにしている。
『大丈夫!あなたぐらいにはなれますから。社長になるのは無理かもしれないけど』
 私はあなたのことを知らないが,あなたが十分会社の役に立ち,貢献していると自己評価しているのであれば,その程度で十分なのである。あなたは,会社にとって必要な存在のはずだから,あなたが引退した後も,あなたの代わりになるような人は必要なのですよ。成長する会社なら,一人じゃなくて何人も必要になる。あなたが会社にとって取り替えのきかない人材である以上,あなたの代わりはすぐには見つからない。だから,あなたの代わりを務められる若者を育てるのは,あなたの究極の仕事なのです。だってあなたが『仕事を任せられるような人』を育てることができるのは,あなただけでしょう?若者にこう言ってやってほしい。
『ありのままの君でいいからうちの会社に来い。20年もやっていれば何とかなるから。大丈夫。俺も(私も)そうだったんだよ』

2011年1月23日日曜日

授業が終わり…

2010年度の授業がほぼ終了した。
本来であれば,この時期ならば,すべて終了しているのだが,他の人の代講として次の金曜日に3コマ分,大学院の授業が残っている。が,まぁ,ほぼ終わりである。

これから4月初旬までは,主に研究モードで過ごす。
わくわくする。たくさん本読めるし,論文も書ける。

今日は日曜日。野菜の手入れをする。
活躍してくれたブロッコリーだが,最近の寒さで,ちょっと成育スピードが落ちている。
昨年の11月と12月で45株収穫することができたが,1月はまだ10株しか収穫できていない。
でも,まぁ食卓をにぎわしてくれました。感謝感謝。
ちなみに,これまでのその他の収穫高は…
カブが43,ダイコンが14である。
来週あたりからはホウレンソウが収穫できそうである。
春には,何を植えようか。楽しみである。

家庭菜園の後,家内と散歩。
息子はサッカー,娘その1はバンドの練習,娘その2はバスケの部活で留守。
南大沢のアウトレットをぷらぷらし,スタバでコーヒーを飲み,南大沢ミートレアを覗いた。
話すことは子供の話ばかり。
しかし…久しぶりに二人だけで,歩いたような気がする。

2011年1月15日土曜日

6期生の最後のゼミ

今週の水曜日に,4年生(6期生)の最後のゼミがあった。
今月の29日には,まだ卒業論文報告会があるので,「最後」という感覚は薄かったが,正規の授業時限における彼ら彼女らとのゼミは,ともあれそれが最後であった。
6期生とは,2年次の後期から都合2年間半もの間,一緒に研究してきた。
思い起こしてみると,実にあっという間であった。いろいろと苦労もあったが,実に気持ち良い期である。ゼミ長と副ゼミ長2人のバランスが実によく,個性の強いゼミ生たちをよくまとめており,私もとても指導しやすかった。

まだ,卒業論文が完成していない学生がほとんどである。来週は,4年生の個別の卒論指導が,週のスケジュールを埋めている。最後の追い込みですね。頑張りましょう!

2011年1月9日日曜日

2年次ゼミの最後の授業

7日に2年生の課題演習の最後の授業があった。
昨年の6月に撮影した,スピーチゲームの模様を皆で鑑賞した。
スピーチゲームとは,各自が考案したお題を,全員にランダムに配布し,自分以外が考案したお題について2分30秒の間,皆の前でスピーチするというものである。
鑑賞後に,特に耳障りな口癖(「なんかー」「えーと」の連発など)など,修正すべき点について意見を言い合った。

授業終了後,お別れ会を実施。
皆に,ゼミを1年間行ってきたことに関する感想を言ってもらった。
研究活動が大変だったという意見が多かったが,一様に充実していた,今思うと楽しかったと最後に必ず添えていたことが印象的であった。
会の最後に,皆の一言が寄せ書きされた,ぬいぐるみを頂戴した。
照れくさかったので,二次会終了後の帰りのタクシーの車中で,皆の言葉を拝見しました。
暗い車内に浮かび上がる文字は…少々かすれて見えました。それは車内が暗かったせいだけではありませんでした。

2011年1月5日水曜日

新年の抱負

研究について
①会計情報が自己効力感に及ぼす影響に関する一連の実験室実験のデザインの完成とその実施
②アメーバ経営がリーダーの心理に及ぼす影響に関する特定企業に対する時系列的なラージサンプル・リサーチの第二ステップの実施
③会計情報のフィードバックと人間心理のメカニズムに関する理論的研究
④上記①~③の成果をまとめた研究書の執筆
⑤業績管理会計と組織心理に関する初学者向けの書物の執筆

教育について
①3年生のゼミについては学内プレゼン大会における3部門完全制覇とインナー大会における決勝への進出
②2年生のゼミについては演習論文大会における奨励賞の獲得
③実証研究の進め方に関する手引書の作成

学内業務について
2011年度は,会計学科の「長」になることが決定している。「長」とは名ばかりで,事実上の学科の雑用係であるが,少しでも学部教育を良くするために,頑張りますかね。でも会議が多くてね…,それがちょっとブルー。

家族について
上の娘が高校2年生,下の娘が中学2年生になる。
来年以降は,しばらく家族旅行に全員で行くことはできなくなるかもしれない。今年は家族のスケジュールのやりくりを事前に綿密にして,しっかりと全員が参加できるようにしないと。
下の息子のサッカーのコーチングについては,ちょっと勉強したほうがいいかも。息子も今年小3になるが,徐々にうまくなってきたので,より効果的な上達のためには,自分の過去の経験からのコーチングには限界がある。

プライベートについて
テニスはうまくなると実に楽しい。実力アップを目指す。
家庭菜園も昨年比較的うまくいったので,今年は更なる充実を目指す。
今年こそはマイ・カヌーをと思うが…,時間があるか?
2011年度は特に忙しくなるので,時間配分の効率化に努力し,健康な体と精神を維持するためにプライベートに割く時間を確保したいですね。