2025年12月22日月曜日

この世の中

努力しても努力しても,結果が出ないときがある。
世の中はかくも理不尽(と少なくとも当の本人には思える)。
社会に起こる現象の特徴は,多変量であり,非線形であり,不確実性が高く,ノイズだらけだし,正解は一意ではない。
つまり,勝敗は自分の内的要素はもちろんこのこと他の人々や取り巻く環境によって決まるし,かけた努力に見合う成果が得られないことも多いし,人によって言うことが違うし,偶然に左右されるし,唯一絶対の正解はないということ。
だから,人は苦しむ。
自分はこれだけ膨大な時間や努力を傾注したのに,世の中不公平だと。
だが…そんなもんだ,世の中なんて。
不公平だし,不正義だし,はっきり言ってク○みたいに思える時もある。
だけど,それでもそんな世の中でも,打ちのめされても打ちのめされても,必死に這いつくばってでも前に進もうとする人間が,この世の中にはたくさんいることも事実。
私はそういう存在に希望を感じるし,美しいと思うし,その存在があるがゆえに生きていけるし,頑張ることができる。

三浦知良選手は今でも現役で活躍している。
私より一歳年上。
カズことキングカズは,日本が初めてフランスワールドカップへの出場を決めた時に,予選で最多得点を決めていながら,本選のメンバーから外された。
世界的にも例のないことだという。
ワールドカップ出場に異常なくらい情熱を持っていたキングカズには,耐え難い衝撃であり,屈辱と絶望に苛まれたことであろう。
強烈な失敗経験。
ここでだけはしたくない決定的な経験。
しかし,カズはその判断をした岡田元日本代表監督を批判し,その結果を人のせいにすることはなかった。
自分が下手だったから。
それが原因だと。
他責ではなく自責に。
これを内的に帰属させるという。
内的に帰属させるといっても,生まれついての能力とかも内的な要因だが,そういったのは自分で変えられないものであって,そうではなくても同じ内的な要因でも努力とか,自分でコントロールできる要因に,キングカズは帰属させていたようだ。
私の知る限り,社会で成功している人の多くは,この管理可能で内的な要因に失敗を帰属させることが多い。
他人からのネガティブフィードバックを他人のせいにしたら,それは自分では変えられないので,そのネガティブフィードバックの原因となった要因はそのままになる。
変われない。
成長もない。
未熟なまま。
人には二通りの人間しかいない。
ネガティブフィードバックを管理可能で内的に帰属させることができる人間と,そうではない人間。
渡辺ゼミの卒業生は必ず前者。
だから,社会に有為な人間になる。

だけどね,少し疲れたときは,人のせいにしても良いんだよ。
壊れてしまうまだ,自分を追い込む必要はないからね。
人間,融通無碍さが,大事。
普段は自責,でも限界に達しそうなら,ちょっとだけ他責で自分を許してあげよう。
それを繰り返しているうちに,その限界水準はどんどん上がっていくから。

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