本当に嬉しいことが今日…あった。
その昔…5,6年前のゼミ生である9期生に困ったちゃんがいた。
3年生の夏合宿の時に,直前でゼミを逃亡した男。
本来,渡辺ゼミの夏合宿を無断で欠席したら,大ごとなのだが…
この男,本当に優しい男で,ゼミ生から愛されていた。
もちろん,私からも。
合宿から大学に戻るバスの中で…
一枚の紙が座席の間を静かに回る。
その男に対する手紙。
戻ってこいという皆の想いが詰まった手紙。
最期に私のところにその紙は回ってきた。
じっと大勢のゼミ生のその男に対する言葉を眺め,思わずこみあげてくるものがあり,こう一言書いた。
「許す」と。
その男はゼミに戻ってきた。
そして頑張った。
しかし…その男は今思うと晩成型で,その当時はまだまだ未熟だった。
4年生の冬のゼミの時,彼は号泣した。
俺にはこのゼミのレベルの卒業論文は書けない…と。
しかし…仲間は諦めなかった。
そして…私は諦めなかった。
結果として,彼も…諦めなかった。
そして,立派に卒業論文を書き上げ,オイコンで…別の意味で号泣して卒業していった。
この男。卒業してからも私に迷惑をかける。
学部生の頃も私の時間を多く奪っていったのに…
今でも30分でいいので会えませんか…とちょくちょく研究室にやってくる。
今日も…ちょうどゼミ募集の時期で,2年生がゼミ相談に来ているところ…その男はまたやってきた。
私が大好きな日本酒を2本も持参して…
そして,彼はこういった。
もう1回,大学に通いたいです。
来年…必ず夢をかなえます…と。
中央大学にはない…そんな学部のある大学に…
卒業して5年,随分と彼は成長した。
昔のちょっと(いや…たくさん)頼りなかった,彼はそこにはいなかった。
しっかりと自分なりのディシプリンを確立し,大きな夢に向かって力強く歩み,そして随分と論理的な思考能力も高まっていた。
その夢の実現を応援したい。
心から。
1時間弱話して,私はビジチャレの反省会に向かわなければならなかった。
ペデ上で彼と強く握手した。
そこで別れ,5号館に向かう2分の間,後ろを別方向に向かって歩く…彼を想った。
早朝起床し,仕事の前に2時間近く受験勉強し,会社からあがり,深夜にかけてまた数時間勉強する,そんな生活を毎日送っている彼を。
頑張れ,頑張れ,頑張れ,頑張れ,頑張れ…と。
2分後,5号館の前に立ち,まだ若き20歳前後の学生と立ち向かう。
ビジチャレの反省会についてはまた書く。
今日は…彼にもらった彼の実家の造り酒屋の酒を「少し」飲む。
今も闘っている彼を想い。
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