2018年5月20日日曜日

PBL

今日は締切が迫っている報告書の作成。
なかなか時間がかかる…
その合間にビジチャレの学生宛に,PBLとはどんなものかについてレクチャーするメールを送った。
大要,次の通り。

PBLの第一フェイズ。
しっかりとグループで解決すべき課題を特定すること。
複雑な社会現象全体を俯瞰して捉えるとともに,全体を構成する部分を分析的に捉え,解決すべき課題を特定する。
例えば,人口減少という問題に直面している村があるとする。
まずはなぜその問題が生じているのか,これについてしっかりと情報収集する。
働く場が少ない,高校がない,買物が不便など,様々な原因があるだろう。
まずはそれらをしっかりと把握したうえで,最重要な問題は働く場がないということだと考えたとする。
ではなぜ働く場がないのか?
農業が衰退し,代替産業が育成されていないことが原因だと分かったとしよう。
なぜ農業が衰退したのか?
高齢化,獣害,峻険な地といった原因があり,そのなかで獣害に着目したとすると…
獣害を解消するうえでの「課題」を特定することが必要になる。
例えば,罠を山の中に仕掛けたとしても毎日山の中を見回ることはとても大変で,結局罠にかかった獣は食に供するには劣化しすぎており,使い物にならず,ほとんどの肉を放棄せざるを得ず,獣を狩ることへのモチベーションが高まらず,なかなか猟に従事する人が増えない状況があるとする。
そうすると,解決すべき課題は「いかに迅速に獲物が罠にかかったことを認知することができるか」となるかもしれない。
大事なことは問題と課題は違うということ。

第二のフェイズは,関連する情報を収集し,筋のよい解決案を構築するとともに,解決の実現に向けてプロセスを創りこむこと。
まずはどうすれば,課題を解決することができるか,筋の良い仮説を立案するが大事。
しっかりと情報を収集したうえで,例えば,「罠にセンサーをつけておいて獲物がかかったら村民に電話で連絡が入るシステムを構築する」ことができれば,獣の狩猟が容易になり,積極的に猟に勤しむが人が増えるかもしれない,という仮説を立案したとする。
そしたら,その実現に向けて,まずは村民にそういったシステムができたら猟に従事しても良いかとヒアリングしたり,役場の協力は得られるかヒアリングに行ったり,はたまたIT企業にアプローチして協力を仰ぐだとか,実現に向けての道筋を一つずつ創っていく。

第三のフェイズ。
実はこれは第二のフェイズのプロセスの創り込みの際に必要なこと。
しっかりと,リーダーがビジョンを打ち出して,周囲の人々や状況をよく理解し,協力者を得て,皆をしっかりと統率すること。

これをリーダーとフォロワー一丸となってやり遂げることができたならば,社会に出ても普遍的に必要とされる能力が一定程度身についたってことになる。
ビジチャレの受講生には,格好の訓練の場が与えられている。
この機会を活かしてほしいものだ。

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