昔,国民文化の研究をしている時にホフステッドを読み,その際に権力格差という概念を知った。
少しうる覚えだが…
例えば,企業の中には職位というものがあるが,権力格差が大きい国民文化の下では,それは普遍的な人間の差として捉えられる傾向がある。
権力格差が小さい国民文化の下では,それは組織運営上必要な便宜的な対応であり,人間に別に差があるわけではないと捉える。
そういったことから,例えば,インドのように昔のカースト制の影響を受け,権力格差が異様に大きい国民文化であり,予算管理の実践の際にも,良かれと思って部下に裁量の余地を大きく与えると,かえって逆効果であり,部下は不安を高めたり,上司のことを部下に仕事を投げる無責任な人と認知してしまうということを学んだ。
下記の論文の存在を今日知ったが…
結構,衝撃的な内容。
…が上記の国民文化的観点からすると,分からなくもない。
Are the Motivational Effects of Autonomy-Supportive Conditions Universal? Contrasting Results Among Indians and Americans
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0146167218764663
基本的には,西側諸国におけるモチベーション理論では,自律性は動機づけを促進する普遍的な要因であると考えられてきた。
しかし,上記の論文では,新しい実験室実験のパラダイムを用いたところ,確かにアメリカ人の組織成員の場合は,自律性が重要な動機づけの促進要因であったけれども,インド人の組織成員は,自律性よりも義務感がむしろ動機づけの促進要因として選好することが明らかにされている。
この結果は,基礎心理学や応用心理学で通説的な「動機づけを高めるには自律性を高めることが普遍的に望ましい」という主張に疑問を投げかけるものである,とされている。
全文をまだ入手していないのだが,早く読みたい文献。
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