2018年9月7日金曜日

仮説を産みだすためには…

ゼミ生たちへ…
ここんとこゼミのことを書いていないので,ちょっと。

さて,もし新卒採用の社員の30%が3年以内に退職してしまうということが観察されたとする。
この観察された「新卒採用の社員の30%が3年以内に退職」というのは,社会に生起している「現象」です。
この現象に興味を持った諸君は,きっとなぜこの現象が生起しているのかを知りたくなるはずです。
研究したくなるはずです。
その結果,入社前に描いていた会社像と現実の違いにショックを受けた人ほど,3年以内に会社を辞めていることを発見したとします。
これは「事実」と呼ばれるものです。
観察可能な「3年以内の退職」という現象から,観察不能な事実を諸君は発見したのです。
この事実というやつは,たまたまって場合もあります。
しかし、多くの同様の事実が発見される場合もあり、その場合にはそれらの事実間で共通する原理があるはずです。
この原理が「理論」と呼ばれます。
理論が見つかれば,そこに「概念」が産まれます。
例えば,「入社後の諸条件に対する期待」を大概の入社前の学生が抱くことが分かり,これを「心理的契約」と名づけたとします。
これが概念です。
この心理的契約が早期離職を説明できるようになると,それは例えば心理的契約なんちゃら理論と呼ばれることになるでしょう。
その理論をベースに,何かと何かがどのように関連しているのかについて「仮説」を立案していくことになります。
3年生と4年生は,これから仮説立案に取り組むことになりますが,その背景にしっかりとした理論があることが大事ですよ。

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