9/5に下記のような松下幸之助の言葉を紹介した。
「一日が終わったら,感謝と反省をしなさい」
ところが最近『ニーチェの言葉』という本を読んでいると次のような言葉があった。
「一日の終わりに反省しない」
少し長いが引用しよう。
「仕事を終えて,じっくりと反省する。
一日が終わって,その一日を振り返って反省する。
すると,自分や他人のアラが目について,ついにはウツになる。
自分のダメさにも怒りを感じ,あいつは憎たらしいと思ったりする。
たいていは不快で暗い結果にたどりつく。
なぜかというと,冷静に反省したりしたからなどでは決してない。
単に疲れているからだ。
疲れたときにする反省など,すべてウツへの落とし穴でしかない。
疲れているときは反省をしたり,振り返ったり,ましてや日記など書くべきではない。
活発に活動しているとき,何かに夢中になって打ち込んでいるとき,楽しんでいるとき,反省したり,振り返って考えたりはしない。
だから,自分をダメだと思ったり,人に対して憎しみを覚えたりした時は,疲れている証拠だ。
そういう時はさっさと自分を休ませなければいけない。」
うーん。ニーチェの言うことも,もっとものように聞こえる。
反省というのは,自分の遂行行動がうまくいかなかったときにするもの。
そのうまくいかなかったことの原因を,自分のせいだと思い無能さを嘆いたり,あるいはその原因を他人のせいにして憎んだりするのは,心理的適応という観点から望ましくない。ウツになりかねない。これはニーチェの言うとおり。
でも…。
そのうまくいかなかった原因を,自分の努力不足だとか,あるいは方法が悪かっただと考えればどうだろう。努力すれば,あるいは同じ方法を繰り返さずに別の適切な方法を探索すれば,ひょっとしたら次はうまくいくかもしれない。そのように考えず,努力せず,同じ方法ばかり繰り返していたら,失敗の連続だろう。失敗したとしても,その努力では,あるいはその方法ではダメなんだと反省することで,成功につながる努力や方法への気づきに一歩近づくことになる。
反省とは,失敗の原因を自分の無能さに帰属させ,それを嘆くことではない。反省とは,失敗の原因を,自分でコントロール可能な要因に求め,失敗の原因究明と問題解決の道筋を探索することだと思う。このことを松下翁は言われているのだと思う。
しかし…。
確かに疲れきっているときは,失敗の原因を冷静に見つめることができずに,無力感にさいなまれてしまうことも多いだろう。そんなときは,寝るに限る。ニーチェの言うとおり。
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