昨日,3年前に私の1年生の演習に所属していた学生が,研究室に訪ねてきた。
聞くと,大学院に進学したいとのこと。
今までの大学生生活では,2年生まで会計士の受験勉強に勤しんだが,その後,やることが見つからず無為な日々を過ごしていたと言う。ふと,楽しかった1年生のゼミのことを思い出し,会計と心理の融合について研究したいと思うに至ったとのこと。
現実を話した。
博士課程を終了して,大学の研究室のポジションがある保障はどこにもない。ひょっとしたら30歳を過ぎても,学生のままかもしれない。実際に,私もちゃんと所得税を支払ったのは29歳のときであった。
研究は楽しい時もあるが,苦しい時もある。産みの苦しみである。それも長期戦になることも多い。
1年生のゼミの時の,会計の面白さを伝えようとして優しく楽しくふるまう私しか見ていないが,3,4年生のゼミ生には時に鬼のように見えているだろう,とも話した。現在,私の研究室には3人の大学院生が所属しているが,そのいずれも「とても厳しい」との認識であろう。
しかし,それでも進学したい,と言う。
仮に大学院に合格したとしても,厳しく接しなければなるまい。
早くその道を断念するのならば,その方が良い。
断念させようとするわけではないが,自らそう決するのなら,それに越したことはない。
それでも,厳しい山を越えることが出来たとき,彼の目の前には,今まで見たことがない光景が広がっていることであろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿