震災後の翌日(12日)と翌々日(13日)は,安全性の確認と危険物の除去のため,大学当局より大学構内への入構が禁じられた。
14日には,入構可能となったので,研究室に向かう。
ドアを開けると,本棚のガラスが飛散していたエリアが,若干片付けられていた。
聞くと,ドアが開かなくなった研究室は,高層の建物なのに窓側に回り込み,それを一部破壊し,入室し,障害物を除去したという。震災当日の学生誘導や対応を見ても,事務方は実によく頑張られていると思う。
改めて研究室全体を見回すと,片付ける意欲がなくなるくらいのあり様であった。
気力を振り絞り,まずはガラスを片付ける。
本棚にまだへばりついているガラス片を除去し,落ちている大きめのガラスを拾い,粉々になっているガラスは掃除機で吸い取る。これだけでゆうに1時間はかかる。
その本棚に入れておいた,アメリカで購入した大事な置物が壊れていることに気づく。残念。
結局,14日丸一日かけても完全には復旧できなかったが,おおむねは終了した。
しかし,その後,日々増える死者・行方不明者,そのご遺族の方々,さらには被災され非難されている方々に思いをいたし,心がきしむ日が続いている。
そして,わがゼミは,3月23日に予定されていた卒業コンパを中止することに決定した。
残念である。非常に残念である。
理由はいくつかある。
第一に,死者・不明者が2万人を越え,被災され非難されている多くの皆さまが苦しんでおられるときに,賑やかな会を開くことは慎んだ方がよい,ということ。
第二に,23日晩は多摩市では,スケジュール的には計画停電にあたっており,その場合,予約している店そのものが閉店されてしまうこと。ただし,今まではスケジュールどおりに停電が行われていないので,現時点では停電帯に入っていても,当日,その通りになるかは分からないが。
第三に,17日のように,急きょ大規模停電の可能性が生じると,ダイヤが大幅に乱れ,参加者の中には帰宅が困難になるものも出てくること。
第四に,余震が続いている中,全ゼミ生を集める事は,リスク管理上,避けるべきであると考える事ができること。
第五に,被災地以外の多くの東北・関東の市民が節電にいそしんでいる時に,夜間に会を開くことは慎むべきであると,ということ。
よもやこのような事態に陥るとは,震災直後には思いもしなかった。
6期生の一人ひとりの顔を思い浮かべると,最後の最後に,心ゆくまでその未来をきちんとした形で祝ってやることができないことに,哀しくてしょうがない。
無念である。
彼ら彼女らには,たくさんの記念品がある。
卒業式は中止になったが,卒業証書の引き渡しは25日に行われるので,その日は一日,研究室を開放し,現れた卒業生にはそこで記念品を渡し,かつ語り合うことにした。
湿っぽくならないよう,明るく接したいと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿