2011年3月23日水曜日

そして未来へ

本来であれば,本日は渡辺ゼミ6期生の卒業コンパの日であった。
東北関東大震災の影響から中止と相成ったことは既に書いた。
既に7期生などから集めていたコンパ会費は,全員の合意のもと,被災地への義援金とすることとされた。
近々のうちに,日本赤十字社に振り込みが行われることであろう。

卒業生には,次の言葉を贈りたい。
未曽有の国難を受け,これから日本は,長期的に塗炭の苦しみをなめ続けることになるかもしれない。経済は失速し,政治は混迷し,人々の醜悪な部分が噴出し,一時的にカオスに陥るかもしれない。

しかし,たとえ汚泥にまみれても,誰に恥ずかしがる必要があろう。もともと,そのかぶった泥は,日本国民が,自らの過去の行いによって生じせしめた「醜いもの」の堆積物である。

しかし,我々は必ず立ち上がる。そして,これから諸君は,その汚泥を一身に受け,それを振り払い,あるいはそれを身にまとったまま,しかしそれをものともせずに,歩き続けなければならない。常に前つんのめりに歩き続けてほしい。その行き着く先には,「新生日本」が必ずある。諸君はその先兵なのだ。

この混迷の時代に,「未来」を描くことは難しいかもしれない。しかし,それを思い描き,それに向かって研鑽を続けなければ,それは決して実現しない。各々が,各々の未来を描くと同時に,社会全体の未来像を築構することができれば,それらに傾斜して,どんな苦しさ,辛さ,哀しさにも耐えることができる。

不運をかこち,現実に失望するのではなく,未来に思いをはせよう。瓦礫と放射能の地にも,未来を予期させる曙光がみえ始めているではないか。自らの身を犠牲にして戦う男たちがいるではないか,泥沼の中赤ん坊を必死に抱きしめる母親がいるではないか,自らより祖母の救出の優先を願う青年がいるではないか,憎悪の濁流にのまれることも恐れず職務を全うした女や男たちがいるではないか。

未来は必ず創造される。しかし,それは一人ひとりの努力研鑽の果てにある。諸君ならば,やってくれる,私はそう強く信じている。6期生の諸君には,4月以降,各々がその職務・研究に奮闘されんことを期待する。

中央大学商学部
准教授 渡辺岳夫

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