仕事終わりに…ふと大好きな畑正憲の小説を本棚から取る。
取ったのかな…
取らされたのか…
それが取ってくれと言わんばかりに、背表紙から主張していたような気もする。
手に取り、一枚目をめくる。
>季節は覚えていない。
赤いセーターが目に焼き付いているので、たぶん4月の終わりか5月の初めのことだったろう。
私は内ポケットに一通の手紙を忍ばせていた。
むろん、忍ばせていたという位だから、尋常な手紙ではない。
初めて書いた恋文、つまり現在の妻、純子にあてたラブレターだった。
畑正憲の文章は野性的だ。
そして、野生の中にポエムがある。
いや野生はそもそもポエムなのかもしれない。
私はその一見アンバランスで、そしてなぜかハーモニーを感じる、そんなセンテンスが耐え難く好きで、ただひたすら活字を追ってしまう。
「ムツゴロウの青春記」
現代の若者の感想を聞いてみたいな。
そうそう感想といえば。
先日、14期のサド君から連絡をもらった。
折角就職した商社をやめ、いきなり、愛する彼女を置き去りにして!?、カナダに語学留学に行ってしまった、そのサド君。
今、カナダで犬ぞりとか、観光関係の仕事をしていて、今度帰国して、外資系の人材関係の会社に就職するという。
その彼に、その彼が送ってきた犬ぞりに乗っている羨ましい写真を見て、思わず私が大好きな植村直己のことを思いだしたと返信した。
植村直己…最高の冒険家…
そしたら、翌日、植村さんの本を早速読んだと連絡してくれた。
「極北に駆ける」
大好きだったなぁ。
サドに読んでもらえて、嬉しかったなぁ。
誰かが植村さんの本をこれからも読み続ければ、植村さんは死なない。
私も死ぬまでに、焦がれるほど好きだった植村さんのように、犬ぞりで旅をしたい。
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