2023年12月15日金曜日

美しい文章

仕事終わりに…ふと大好きな畑正憲の小説を本棚から取る。

取ったのかな…

取らされたのか…

それが取ってくれと言わんばかりに、背表紙から主張していたような気もする。

手に取り、一枚目をめくる。


>季節は覚えていない。

赤いセーターが目に焼き付いているので、たぶん4月の終わりか5月の初めのことだったろう。

私は内ポケットに一通の手紙を忍ばせていた。

むろん、忍ばせていたという位だから、尋常な手紙ではない。

初めて書いた恋文、つまり現在の妻、純子にあてたラブレターだった。


畑正憲の文章は野性的だ。

そして、野生の中にポエムがある。

いや野生はそもそもポエムなのかもしれない。

私はその一見アンバランスで、そしてなぜかハーモニーを感じる、そんなセンテンスが耐え難く好きで、ただひたすら活字を追ってしまう。


「ムツゴロウの青春記」

現代の若者の感想を聞いてみたいな。


そうそう感想といえば。

先日、14期のサド君から連絡をもらった。

折角就職した商社をやめ、いきなり、愛する彼女を置き去りにして!?、カナダに語学留学に行ってしまった、そのサド君。

今、カナダで犬ぞりとか、観光関係の仕事をしていて、今度帰国して、外資系の人材関係の会社に就職するという。

その彼に、その彼が送ってきた犬ぞりに乗っている羨ましい写真を見て、思わず私が大好きな植村直己のことを思いだしたと返信した。

植村直己…最高の冒険家…

そしたら、翌日、植村さんの本を早速読んだと連絡してくれた。

「極北に駆ける」

大好きだったなぁ。

サドに読んでもらえて、嬉しかったなぁ。

誰かが植村さんの本をこれからも読み続ければ、植村さんは死なない。

私も死ぬまでに、焦がれるほど好きだった植村さんのように、犬ぞりで旅をしたい。




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