今日の2セッション目のテーマは域貢献活動(CSR)で,2004年からフォルトナにお勤めのClaudia Beckers氏にご講演いただいた。
CSRの部署で一番大事にしていることは,持続可能性の追求。
①価値
伝統,ホームタウン,コミュニティ,
②原則
サステナビリティ,信頼,地域密着,人々と環境に対する責任,社会的なアンカリング
③パートナー
アクト・メディア(デュッセルドルフ以外の団体),ビジョンタイレン(ホームレスとかの支援団体),市民財団(子供から大人まで交えてアクションを起こす団体),病院(
難病を抱えた子供やその家族のサポート),小児がんのクリニック,ISI(乳がんの危険を啓発),児童保護連盟(虐待児の心や体のケア),呼びかけと勇気(差別を受けた子のサポート),文化リスト(収入の少ない親の子を招待),糖尿病センター
サステナビリティを考えるうえで重要なことは,エコロジー,エコノミー,社会貢献
エコノミー↔社会貢献↔エコロジー
■エコロジー
エコロジーの改善につながるところは,それに取り組んでいる。
自分たちだけではなく,ファンやステイクホルダーと一緒に。
使い捨てプラスティックの削減。
ケイタリングも工夫し,デュッセルドルフの野菜利用やビーガンなどの提供も。
ライン川でのプラスティックのゴミ拾い。
部署にエコロジーの専門家が1名いて,エコロジーの追求に資するワークショップ等を常時開催。
公共交通機関の使用を評価(車利用の抑止:デジタルチケットに公共交通機関の代金を含める),選手もそれを実践。
蜜蜂プロジェクトを実践し,蜂の重要性をコミュニケート。
余った食事をホームレスや困っている人に振舞うなどのセイブフード(2月12日も)(ドイツでは道端で食事をあげるのは法律で禁止されているので,スタジアムに招いて提供←ほかのクラブも真似をするようになってきている,ケルンやニュルンベルク等)。
二酸化炭素や水の利用量を測定し可視化する会社と連携。
■インテグレーションとインクルージョン
障碍者の方々がサッカーを楽しむことができるような諸施策の実践。
耳が聞こえない人には手話を提供。
ブラインドサッカーやアンプティサッカー(今年ドイツで優勝)のチームもフォルトナは保有。
車いすの方にバリアフリーを提供。
想い出バック(ボランティアでアルツハイマーの方にフォルトナグッズを提供し,昔を思い出してもらう取り組み。実際,ドイツカップ優勝を思い出してくれる人もいたという)。
障害を持つ人たちのための大会を主催(戦争でけがをしてしまった人たちを集めて,オリンピックと同じような種目の大会を開催)。
■健康と栄養管理
ユースアカデミーセンターのHPで,栄養士監修による健康な献立を提供。
乳がんのワークショップを開催。
乳がんへの関心を高める取り組みを実践。
子供たちに対して健康的な朝食・昼食は何なのか,健康的な摂食サイクルは何なのかということを教育。
元プロのレジェンドが子供たちと一緒に参加ーする機会を創出。
35~65歳のちょっとぽっちゃりした人が参加し,60分間健康な食事や栄養管理を学んでから,90分間トレーニングを行うプログラムの開発。
3~10歳の運動不足の子供たち向けに,フォルトナのコーチなどがトレーニングするプラグラムの実践(ケルン体育大学によるとその年代にしっかりと運動しておくことが将来のために大事,サッカーというよりエクササイズを実践)。
フォルトナ・ハイキングデーは一日に1万歩を歩こうという企画。
■コミュニティ
社会課題に焦点を当てて対応していく活動。
スタジアムで学ぼうプロジェクト(学校だけで学ぶのではなく,学校では学べないことを学ぶ)。
おやすみバス・プロジェクト(布団やマットレスを集めてホームレスに提供,クラブ首脳陣によるアルトシシュタットでの炊き出しの実施)。
こんにちは隣人さん(年寄りの隣人さんの家に若者が訪問し,話をしたり,一緒にご飯を食べるというもの)。
フィフティ・フィフティ(ホームレスがマガジンを売るとその半分がホームレスのものになるという企画)。
人種差別反対をアピール(フォルトナの選手が学校に出向いてプレゼンしたり)。
劇場でフォルトナの歴史を紹介。
古い歴史を有するアイスホッケーのクラブと提携。
キッズケア(児童保護連盟と実施)。
虐待へのリアクション(F95.de)。
ボランティアに感謝していこうというイベント。
日本デーへのコミットメント。
ドイツ語が分からない難民(子供たちも含めて)に向けてドイツ語を指導。
以上に類する施策は,他のクラブも実施しているが,フォルトナの実施回数は非常に多い。
■エコノミー
フォルトナの財政に関わるすべてのステイクホルダーに関する活動
認証されたサプライチェーンを重視(フェアトレードを徹底)。
サステナビリティがドイツで最重要視(それを徹底したクラブじゃないと試合ができなくなる!)。