Jリーグビジネス論は,主としてJリーグの各クラブの経営者・経営管理者が講師として登壇して,地域特性,スポンサー特性,スタジアム特性,サポーター特性を踏まえて,どのようなクラブ経営を行っているのかをご講義いただいている。
本日の授業では,Jリーグの事業本部マーケティング戦略スーパーバイザーの山下氏にご出講いただき,Jの各クラブに関する講義を学生がより深く理解できるようなるために,視点を変えてみることの重要性が語られました。
最初に,山下氏は,視点を変えて考えてみると新たな価値・存在・可能性に気づくことができると主張。
例えば,マンチェスターユナイテッドは世界的に有名なクラブだが,Jリーグのクラブの中でも必ずしも目立った存在ではない鹿児島ユナイテッドというクラブと,実は共通点があるとのこと。
すなわち,両者はホームタウンの人口がほぼ同じであり,そのように視点を転じてみると,後者にも今後大きな伸びしろがあると考えることができるとのこと。
面白い。
その他にも分かりやすい例を用いて,視点を変えてみることの意義が語られた。
世界で最も売上が多いクラブがFCバルセロナ。
イチケンという日本の会社は売上が同じ(東証の中で売上高957位)。
サッカーは持っているポテンシャルを大きく見せることができる?
Jリーグの価値,世界に誇れる価値。
第一にマスコット!
Jの来場客の女性割合40%は世界でトップレベル。
家族で来場している客は50%でこれもトップレベル。
マスコットは,試合結果に関わらず試合に来たことをよかったと思う一つの要因になりうる。
第二,スタグル。
スタジアムに行けば地元の美味しいものが食べられる!
第三に,涙と笑顔。
モンテディオ山形が初めてJ1に上がることが決まった時の写真。
初老の男性がうれし泣きをしている写真。
人前で泣けることなんてなかなかない。
アビスパ福岡がJ1昇進を決めた直後の写真。
小学生低学年の女子が嬉しくて号泣している写真。
子供が嬉し泣きするなんてなかなかない。
大分がJ1昇格を決めた時の写真。
全員がうれし泣きをしている写真。
大人が一つのことで全員が泣くなんてそうそうない。
セレッソが降格を免れた時の親子の写真。
喜んで母親と小学生の子供が抱き合っている写真。
小学生の男の子が母親とその年齢になって抱き合うことなんてそうそうない。
これらのような感動を与えることができるのがJリーグの価値。
第四に,絆。
東北大震災後10日余りで,マリノスのサポーターが声掛けをして,支援物資を仙台に届けたいとの連絡がJにあった。
Jの会館に1000人ぐらいが支援物資を持ち寄るために集まってきた。
その支援物資には,Jリーグサポーターは皆のサポーターであり,ともに頑張ろうとの言葉が書き連ねられていた。
各クラブが地域に根付いているからこそ,このような現象が生起したのでは?
大宮のサポーターは自主的にその物資を運ぶために,自分のトラックを無償で出し,4往復もしたとのこと。
誰のお金も受け取らず,突き返し,私に渡すぐらいなら,寄付してください,と。
一か月後の等々力での川崎と仙台の試合。
仙台のサポーター数百人がその場で,涙を出して出会いを,生きていることを確認して,喜んでいたとのこと。
スタジアムはそのような絆を確認する場でもある。
涙も笑顔も絆もすべて私たちの価値。
その価値をあげていくためにはどうしたらいいのか,日々考えているのがJリーグ。