2013年2月11日月曜日

人生生涯・・・

以前紹介した本だが・・・
塩沼亮潤『人生生涯小僧のこころ』到知出版について。

この塩沼さんという方,とにかくすごい。
吉野山の金峯山に出家したお坊さんで,大阿闍梨。

なにが凄いって,まずは大峯千日回峰行という行があるんだけど,これがすさまじい。
要は,千回,山道を往復する行。
ただ,この山道が半端ではない。
片道24キロ,高低差1,300メートル。
こいつを16時間かけて一日で往復する。
これを5月から4ヵ月かけて,連日往復する。
その間,一回も休めない。
休んだら,行が失敗したということで,身に付けた短刀で自死しなければならない。
これを9年繰り返すわけだ。
で,トータル1,000回。
距離にすると,48,000キロ。
これをやり遂げたのは,吉野山の1,300年の歴史の中で,二人目だからね。

40度近い高熱がでても,血尿がでても,足がパンパンに腫れ上がり,足が上がらなくなっても,とにかく,体を前に進めなければならない。
イノシシやクマと遭遇しても,巨大な台風が来ても,がけが崩れて道がなくなっても,進まなければならない。

しかし,この人,どんなに苦しい状況でも,一回たりとも行に向かいたくない,とは思わなかったという。
うーん,考えられん。

それから,さらにこの方,とんでもないことをやり遂げている。
四無行というやつである。
簡単にいえば,断食,断水,断寝である。
それも9日間。
9日間,食べず,飲まず,寝ず,伏せず,をやり遂げる。
ちなみに,体を慣らすために,その9日間に入る2日前から,断食は始めている。
11日間,何も食わんということ。

この人が言うからこそ説得力のある言葉が,上記の本には綴られている。

たとえば・・・

「現実を受け入れ愚痴らず精いっぱい生きること,そこに道が開けてくる。」

「肉体的にも精神的にもギリギリの状態のところに自分自身を追いやって,その場所にしか咲いていない悟りの花みたいなものを見て帰ってくる(そのために厳しい行に挑むんだ)。」

「山で修行した人だけしか悟れないというものではない。それぞれの生活の中で,それぞれに与えられた役目を果たしていく中で,心を研ぎ澄ませ,目を凝らし,耳を澄ませたとき,いろいろなことが悟れる。」

学生諸君や若いOBOG諸氏にぜひ一度読んでもらいたい。

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