本日のJリーグビジネス論の講師は電通のサッカー事業室長の大井義洋氏。
この20年間,サッカーを中心にスポーツビジネスに関わってこられた,とりわけグローバルビジネスに通暁した方。
コロナ禍による世界のサッカークラブへの影響。
FCバルセロナ120億円の減収。
ダゾーンと再契約したが,年間当りの契約金は23億円減額。
日本サッカー協会は,スポーツ団体としては財政規模は日本で最大だが,49億円減収。
ロナの影響で,5大リーグの収入はトータルで3000億円ほど減収。
そのなかでポジティブなニュースは,日本プロ女子サッカーリーグ(WEリーグ)の発足。
WEリーグのビジョン。
1 世界一のアクティブな女性コミュニティーへ
2 世界一の女子サッカーを。
3 世界一のリーグ価値を。
なでしこリーグはアマチュアリーグなので,そこから11クラブを選定して,リーグを構成。
最低年俸は280万円。
アジアでは日本が魁。
アメリカは平均入場者数が2万人以上と,女子サッカーリーグは盛り上がっている。
ここでプロ化しないと,優秀な選手は海外のリーグに流出して,国内リーグが空洞化して魅力が失われる。
ここでプロ化して,むしろ海外から優秀な選手を受け入れ,国内リーグの価値を高めるべきと考えた。
コロナ禍における新たな取組み。
ファンが自分でパネルを作成して,そのパネルによるスタジアム装飾と収益(1パネル19€)の確保。
ビデオウォールによる双方向的な観戦体験。
スタジアムにスピーカーを置いて自宅からリモートで応援できるシステム。
スタジアム内に最新ロボットを配置して,そのロボットを通じて応援するシステム。
事前に録音されたサポーターの声援を流し(満員のスタジアムと空のスタジアムでは,前者の方が視聴率が高いという傾向がある),それを放送する取組み。
バーチャルであたかも人がいるよう(満席であるかのよう)に表示して放送する取組み。
ファンのアバター(ファンが自分で操作できる)が席に座って応援するMLSの視聴体験。
世界と日本。
1990年初頭においては,日本のサッカーリーグとプレミアリーグでは,収入規模はほとんど変わらなかった。
ところが,現在は10倍ほど引き離されている。
また,バブルの頃は,世界でもっとも収入が大きかったのは,ニューヨークヤンキースでもマンチェスターUでもなく,実は日本の読売ジャイアンツだった(今は見る影もないが…)。
世界で最も盛り上がるサッカーの大会は…AFFスズキカップ2018.
スズキ自動車協賛。
東南アジアサッカー連盟主催で11か国参加。
マレーシアが初優勝した時には,観戦にきた首相が翌日を休日にした!
テレビの視聴率は年間トップを独占!
スズキ自動車が得たビジネス価値は57億円!
ユーチューブを見た人,9800万人!
パブリックビューイングには信じられないぐらいの人が集まる!
決勝は10万人収容のスタジアムが満員に!
タイにおける人気のサッカーリーグは,1位プレミア,2位ラリーガ,3位ブンデス,そして4位がJリーグ!
スポーツ経営人材に求められる思考法。
時代が変われば経営も変わらなければならない!
競技とマーケティングのバランス経営をすることが必要!
多岐にわたるステイクホルダーを正しく定義づけ理解することが,戦略策定上重要!
クラフト(実践・経験値),サイエンス(科学的アプローチ・論理性・理論),アート(直感,創造性,ビジョン)のバランスがイノベーションを創出する!
今までのスポーツ組織はクラフトを重視しすぎた!
今,日本のスポーツビジネスで必要なことは「サイエンス」!
普遍的に求められるのはアート!
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